絶対に手を出してはいけない投資 その1 FX取引

 絶対に手を出してはいけない投資のワースト1はFX取引です。FX取引についての説明は省略しますが、FX取による損益は将来の円相場いかんによって決まります。将来の円相場を科学的に予測することは不可能です。

 ケインズは「雇用、利子及び貨幣の一般理論」に対する批判に応えた論文の中で「可能性がある」と「不確実」を明確に区別して、次のように説明しています。「ルーレットゲームは不確実性の対象ではない(引用者注:確率を科学的に計算することができる)。「不確実」な意味は、今から20年後の銅の価格や利子率、新しい発明の陳腐化などを指している。これらすべての事柄について、何らかの確率を計算するための科学的根拠は存在しない。我々にはまったく分からいのである。」ケインズは、天候は中程度の不確実である、と書いていますが、将来の天候はまさに不確実です。「明日をどこまで計算できるか?」とう本に次の記述があります。「天気予報の第一歩は初期条件を設定すること、つまり、今日の天気の気温、気圧、風向・風速、湿度などの基本的変数を測定することだ。予報のためのモデルの変数の合計数は1,000万個の規模になる。誰もこのモデルを自分のコンピーターで動かしたくはないだろう。」

 FX取引を勧めている人やお金の学校を信用してはいけません。その人達に「あなたはFX取引でいくら儲けましたか」と質問したらどうですか。彼らはFX取引には手を出していないでしょう。手を出したとしても、常に儲けている人はいないはずです。そんな奇跡的な幸運が続くはずがありません。

 10年以上前のことです。主婦がFX取引で1億円単位の儲けがあったのに、所得税を申告していなかった、という新聞記事がありました。それを読んで「FX取引は儲かりそうだから、やってみよう」と思った人がいたことでしょう。でも、ちょっと待って下さい。そんなに儲かったことは単に幸運だったにすぎません。なまじ儲かったからFX取引を続けていたら、いずれ損をして、申告漏れを指摘された頃には自己破産していたことでしょう。